国際的なMICEに対応可能 外国人629万人想定も集客課題
政府が認定した大阪・夢洲地区のIR(統合型リゾート)区域整備計画の審査に当たった審査委員会の報告書が公表された。大阪の計画について、アジアのIR先行地域として知られるシンガポールの施設と比較して同等以上の規模を持ち、国際会議場などのMICE施設も十分な規模と評価した。投資額からみて地域経済への相応の波及効果も見込まれるとした。一方で、開業3年目の来訪者数の見込みは年間1987万人、うち外国人は629万人と意欲的な目標といえることから、IRの魅力向上への取り組み、外国人の集客に向けたプロモーションが重要と指摘した。
大阪府、大阪市が整備を目指すIR施設は、米国・ラスベガスに本社を置くIR運営会社、MGMリゾーツ・インターナショナルの日本法人・日本MGMリゾーツや、オリックス、関西地元企業などが出資する大阪IR株式会社が事業運営を担う。設置場所は、大阪市此花区にある人工島、夢洲地区。開業時期は2029年秋~冬ごろを予定している。
計画における大阪のIR施設に対する初期投資額は約1億800億円。施設の延べ床面積は約77万平方メートルで、国際会議場や宿泊施設、カジノ、エンターテインメント施設などが整備される。年間売り上げは約5200億円で、うちカジノで約4200億円を見込む。大阪府、大阪市への納付金は合計で年間約1060億円となる見通し。
大阪の区域整備計画を審査した審査委員会は、国土交通相が計画を評価し、認定の可否を判断するために設置した有識者会議で、竹内健蔵東京女子大学教授を委員長とする7人の委員で構成されている。地域からの区域整備計画の申請期限だった22年4月28日以降、審査委員会の会合は23年4月7日までの間に計21回開催された。
大阪のIR施設の区域整備計画に対する審査委員会の審査では、審査項目ごとに点数を付ける採点方式も採用された。大阪の区域整備計画に対しては、審査委員7人の平均点が千点満点のうち657・9点だった。点数だけで認定の可否を判断したわけではないが、大阪の計画は認定条件としていた600点以上をクリアした。
採点には25の評価項目があり、各項目の配点の60%以上の点数を獲得すると「優れている」、80%以上で「非常に優れている」といった評価に相当する。大阪の計画に対する採点の平均点を見ると、「MICE施設の規模」が20点中15・7点となるなど22項目が60%以上だが、「地域との良好な関係構築のための取り組み」は50点中27・1点で、「カジノ施設のデザイン等」と「観光への効果」を含めた3項目が60%に達しなかった。
審査委員会の審査結果報告書では、大阪IR計画に対する主な項目について次のように評価している。
【施設の規模】
大阪IRの延べ床面積(約77万平方メートル)、敷地面積(約49万平方メートル)の規模は、シンガポールのIR、マリーナベイサンズ(開業時延べ床面積約60万平方メートル、敷地面積約19万平方メートル)、リゾートワールドセントーサ(同約34万平方メートル、同約49万平方メートル)などと比べて同規模以上。国内の代表的な観光施設と比較しても、同等程度またはそれ以上の床面積や敷地面積であることから、日本を代表する観光施設にふさわしい十分なスケールを有している。
【MICE施設の規模】
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